梅棹忠夫の日本語文章をGoogle翻訳で、英語に翻訳してみえたこと

梅棹忠夫の日本語文章は特徴的で、とてもおもしろいので、ちょっと検証してみた。

目次

梅棹忠夫の日本語文章の特徴とは

以下、『人生読本 文章』(河出書房新社)から抜粋する。

「文章をかくうえで注意をしている点は、~略~よんだ人にわかってもらえるということ」
「できるだけ自然な日本語になるように気をつけて~略~外国語からの翻訳口調みたきなものをできるだけ排除して、日本語の語法にのるように努力しています」
「文脈のいりくんだ文(センテンス)はなるだけかかない」
「やさしい言葉で正確に自分がいいたいことをあらわす言葉をさがす」
「表記法については、~略~当用漢字表の範囲内におさめる努力をし~略~いちばん普通の日常的な用語のなかで話のかたをつけようということになります」
「じつにとぼしい語彙で文章をかいている~略~まるでベーシック・ジャパニーズで文章をかいているようなもの」
「訓読の用言においては漢字をつかわないという原則~略~用言をかなでかくのは、いまの日本語の表記システムを基本的なところでみとめながら、しかももっともよみやすく、またかきやすくするための工夫なんです。気分にしたがうのではなくて明快な原則にしたがっています」
「現代の日本語を必要以上にむつかしく、やっかいなものにしているのは、漢字を訓読する習慣だ、というかんがえからです。とくに、用言の場合は、おくりがなの原則がたたない。これでは正字法をきめることなんか、できやしません」

梅棹忠夫の日本語文章がどれだけベーシックなのかの検証

Google翻訳をもちいて、「梅棹日本語→英語→日本語」という翻訳過程をとおして、どういう変化があるかをみてみる。
テキストとしては、梅棹忠夫の著書『日本探検』の有名な一文を引用する。

なんにもしらないことはよいことだ。自分の足であるき、自分の目でみて、その経験から、自由にかんがえを発展させることができるからだ。知識はあるきながらえられる。あるきながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながらあるく。これは、いちばんよい勉強の方法だと、わたしはかんがえている。

日本探検 (講談社学術文庫)

日本探検 (講談社学術文庫)

 

このテキストを原本「あ」とする。

いざGoogle翻訳

Google翻訳①(原本「あ」→英語)

It is good to do nothing. Because it is your own foot, and from your own experience, you can freely develop your reward from that experience. Knowledge is given as it is. I will read the book while I am reading, I can read it while reading, I can read it. I think this is the best way to study.

Google翻訳②(①→日本語)

何もしないのは良いことです。 それはあなた自身の足であり、あなた自身の経験から、あなたはその経験からあなたの報酬を自由に開発することができます。 知識はそのまま与えられます。 読んでいる間にその本を読む、読んでいる間にそれを読むことができる、私はそれを読むことができる。 これが勉強に最適な方法だと思います。

Google翻訳の結果

めちゃくちゃな翻訳になった。これをみると、梅棹日本語は全然ベーシックではない。

しかし、②をよくよんでみると、単語のところで、誤翻訳しているようにおもえる。文の構造自体は、梅棹日本語とほとんどちがいはない。

ということで、原本「あ」を以下のように、赤字のところを漢字にかえたものを原本「い」として、再度Google翻訳をおこなってみた。

再度いざGoogle翻訳

原本「い」

にもらないことはいことだ。自分の足でき、自分の目でて、その経験から、自由にえを発展させることができるからだ。知識はきながらられる。歩きながら本をみ、みながらえ、えながらく。これは、いちばんい勉強の方法だと、わたしはえている。

Google翻訳③(原本「い」→英語)

It is good to know nothing. It is because you can walk on your own feet, see with your own eyes, and develop ideas freely from the experience. Knowledge is gained while walking. Read a book while walking, think while reading, walk while thinking. I think this is the best way to study.

Google翻訳④(③→日本語)

何も知らないのは良いことです。 自分の足で歩くこと、自分の目で見ること、そして経験から自由にアイデアを発展させることができるからです。 歩きながら知識が得られます。 歩きながら本を読み、読みながら考え、考えながら歩きます。 これが勉強に最適な方法だと思います。

Google翻訳の結果

みごとに、意をそこなわずに、翻訳されている。

Google翻訳と梅棹日本語について

どうやら、Google翻訳は、用言の「ひらがな表記」には対応しきれていないようだ。

梅棹日本語は、文の構造が非常にベーシックであることがわかり、また、言葉えらびについても、「ひらがな表記」をのぞけば、これもまたベーシックであることがわかった。

 

余談

ぼくは、論文調の文章を全然かけないなあとおもった。

論理だけで言葉をはこんで、無機質に論証していくことが、苦手だ。

あんまりたのしくないな。いや、たのしくないこともないか。

なんというか、論証していく基礎がないから、めっちゃつかれてきて、「もういいや!アバウトな感じで!」って、なげだしたくなる。