「ちがう」ということを主張しようと、つまり、「自立しよう」という自我の運動が活発になりはじめたときに、「共感」によって、それをはばもうとする空気がながれ、なんとなく相手のことをおもんぱかって、「ちがうというのは、やめておこう」と、みずから抑制するはたらきが意識を支配するのが、つまり、河合隼雄が『母性社会日本の病理』で、いっていることである。
- 作者: 河合隼雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/09/19
- メディア: 文庫
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この病理について、ある程度わかっているがゆえに、「いえない」自分でいることが、とてもくるしい。
こころが病むということに、理由など、あってないようなものだとおもうが、ぼくのいまの状況は、まちがいなく、病む局面のひとつではあるとおもう。
ぼくは、いま、治癒しはじめている、つまり、自我が確立されつつあることは、たしかなことだと認識しているが、一方で、いつでも足下をすくわれて、病んでしまいそうな、たいへんきわどいところにいるようだ。この病理に、まけない自我のつよさを手にいれたい。
しかし、冷静になって、判断することをこころがけてみると、わざわざ病む土壌に、積極的にいつづけていることは、おおきなあやまりをおかしているともおもわれる。
くらい顔して、はたらいているひと、おおいもんなあ。