【宮崎駿『風立ちぬ』】たいへん感動した物語だった。

風立ちぬ』、すごくよかった。感動した。最近なのか、今日だけ、特別なのか、涙腺がゆるい。うるうるしすぎだった。わけわからんところでも、うるうるしてしまったし。

ここ最近ふれた物語で、最高傑作だとおもう。アニメーションも、すごく、やわらかくて、その質感がよかった。

映画にしては、起伏のすくないものだった。しかし、それでは、たぶん、みかたが、あまい。この物語の味わいは、自分のことに、ひきつけてみることで、ふかくなっていくのだとおもう。自分という存在のあつみによって、それは何倍にも重厚なものになるのだとおもう。

とすふと、ある作品に対して、「ええか、わるいか」という価値判断をすることは、しょせんは、それをみたときの自分の精神状態に依存するんだともおもうところもある。これは、さめた目線から、いうことではない。感動のなか、率直に、おもったことだ。

この『風立ちぬ』という物語は、いま、ぼくがみたから、この味わいがあったのは、たしかだとおもう。いまより、もっとまえにみていても、いまの感動は、きっと、なかった。自分の琴線は、きっと、いまほど、ふれなかった。小学生のころなんかに、もし、みることがあったら、たぶん、全然おもしろくなかっただろうとおもう。

ひさしぶりに、没入できた。途中、ひとやすみしたけれど、それもつかれていただけで、あきてはいなかったので、没入しながらのひとやすみだった。

たいへんよい物語だった。