【新聞をよむ④】くらしをささえる技術者のこと。アフリカとリープフロッグ。

朝日新聞7/20朝刊】


新型コロナウイルス感染者をうけいれる病院の7割をしめる公立・公的病院が、経営難におちいっている。コロナ対応の最前線をになうが、人手不足などの理由から、収益がみこめる健康診断や救急外来をけずって、対応している。このような病院自身の稼働域の縮小があるなか、ひとびとが受診をひかえるうごきもあり、外来患者が減少し、おおきな赤字となっている。「この調子だと秋にも資金が底をつく」と病院事務長はいっており、現場では、地域の医療体制が崩壊しかねないとの懸念がひろがる。


人手不足というのが、気がかりだ。なんで、こんなことになるんだろうか。いつから、こんなに体力のない国になってしまったのだろう。


やる気もなくて、あそんでくらしたいぼくがいうのもなんなのだが、医療など、人間のくらしにかかわる仕事につくひとが、へっているのは、たいへんな問題だとおもう。ぼくみたいな人間がふえてしまっては、いけないんじゃないだろうかとおもう。


ぼくは今年、部署異動があってから、電気の保安をやっている技術者といっしょに仕事をするようになった。かれらの仕事があって、ぼくは日ごろ、何気なく冷房をつけて、すずんだり、パソコンをいじって仕事をしているのだということがわかった。さっぱりわからない電気装置が、日ごろ何気なくつかっている100vの電気をつくっているのだが、それは技術者がいて、成立しているのだ。


医療もそうだが、電気の技術者たちのようなひとびとによって、ぼくたちのくらしは、ささえられているのだ。このようなひとびとが、すくなくなってしまうということは、社会の体力の減退なのだとおもう。これはたいへんなことだ。迷惑系YouTuberなどというやからがいるみたいだが、「有名になって、お金をもうけたい」などということは、余裕のある社会だから、成立するということを理解しておこう。


○高度に発達したシステムがあっては、あたらしいシステムを導入する際に、かえって、それが障害になるのかもしれない。まえのシステムをゼロにするわけにもいかず、あたらしいシステムとの、つじつまあわせに苦労することが、おそらくある。


アフリカでは、対新型コロナウイルスで、最新技術が、一気に普及していっているという。たとえば、給付金の入金には、スマートフォンのショートメールをつかった送金サービス「M-PESA(エムペサ)」のアカウントがつかわれている。これによって、「銀行の長蛇の列にならぶ必要もなくなり、また、現金のときのように、腐敗した公務員に賄賂をもとめられるおそれもなくなった」と、最新のテクノロジーによって生活が一変したことを市民はよろこんでいる。


このように、経済発展ででおくれたアフリカ諸国で、一足とびに最新技術が普及する現象を「リープフロッグ」という。たしかに、なにもない状態であれば、あたらしいシステムをぶちこんでも、プラスにはなっても、マイナスの影響はすくないだろうから、リープフロッグということが成立するようにおもう。


危機に際しては、かえって、成熟していることが、あだとなるのかもしれない。


とはいうものの、アフリカは独立してから、すでに半世紀以上たっているのだから、社会は十分に成熟しており、脂ののった若者のような体力がある社会なのかもしれない。