自転車にのった少年と文化のはじまり

9月4日金曜日午後3時ころ、炎天下のなか、脇道で素振りをしていたところ、自転車にのった小学3年生くらいの少年が、その道をとおりぬけるため、ぼくの方へとむかってきた。ぼくは少年がとおりすぎるまで、素振りをやらないでおくために、少年のすがたを目でおった。そのとき、少年と目があった。不意なことだが、たがいに、かるい会釈のような、あるいは目くばせのようなしぐさをした。


少年は、ぼくのこと、つまり、素振りをする男性のことが気になったのか、このあと、二度、三度と、目のまえを自転車でとおりすぎた。三度目には、目のまえをよこぎる瞬間に、ぼくの方をみて、「がんばってください!」と、ややかぼそく、一声かけていった。ぼくはそのかけ声に応じて、「ありがとう!」とかえした。


一瞬のやりとりだったが、印象的なできごとだった。ぼくはこの経験から、文化のはじまりをみたような気がしている。また、少年にとっては、野球がある風景として、このまちが印象づけられたかもしれない。