こんにちは。
仕事がら、高校生に対して、進学相談をおこなうことがあります。ぼくは広報課には所属していませんが、たまに代打で、進学相談会とかにいきます。
大学の広報課は、なにがなんでも志願者をあつめることに必死です。まあ、私立大学は学生の授業料収入におおきく依存して、活動していますので、必死になるのは当然のことなのですが。
広報課がよくつかうことばは、「大学に進学したら、夢と希望がひろがっている。あなたの可能性をいっしょにひろげていきましょう。」といったところです。
ぼくは、こうした宣伝には、批判的です。
まず、大学は基本的に、「学校でまじめにお勉強ができる70%の学生と、放っておいても自分でたくましくやっていく20%の学生」を対象に運営されています。そして、「のこりの10%の、人生にまよっていたり、家庭状況や経済的に苦労しているような学生」のことは、ほとんど対象にしていません。(※数字はてきとうです。)
なぜなら、大学はNPO法人などではなく、営利目的が半分くらいある学校法人だからです。国立、私立とありますが、よくにたものでしょう。
なので、大学は、「ひとりの学生が、人間として、どういきて、どう死んでいくのか」などというようなことについて、ほとんどかんがえていないのです。そういうことについて、切実になるような感性は、大学にはほとんどありません。
大学生をとりまく状況で、ぼくがしっていることで、こころにひっかかることで、以下のようなことがあります。
・女子大学生が学費のために性風俗ではたらく。
・母子家庭で、学生本人が生計をささえている。
特殊なケースなのでしょうが、このようなひとにまで、大学進学をすすめた大学や高校には、ぼくはたいへん批判的です。
- 作者: 中村淳彦
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2015/10/13
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (6件) を見る
書籍にもなっていますし、ぼくの身のまわりでも、実際にあったことが、何度もあります。
本人たちは、とてもやさしくて、気分のよい人間なのですが、やっぱりどこかに、むなしさを感じさせるものがあります。彼女たちは、「わたしの事情もしらずに、出席率をあげよう、単位をしっかりとろう、このままでは卒業できないよ」などと、大学が事情をわかろうともせず、こういうことをいってくることに、しんどいと、もらしていました。
はじめから勉強をまともにできる状況ではないのです。
社会的弱者の立場にある高校生に、あまいことばをささやいて、大学進学させることには、こういう危険をともなってきます。それを自己責任論で、かたづけることには疑問があります。
とにかくですね、大学進学するかどうかは、ほんとうに自分のことをよくかんがえて、きめないといけないということだとおもいます。おとなは、組織の都合で、けっこうウソをついてきますので。
日本社会では、天才的な才能がないような、ふつうの人間は、やっぱり大学をでていた方が、なにかといいです。だけど、学校側だけの意見をきかずに、いろんなおとなの意見を進路選択のときには、きいた方がいいとおもいます。それが、あたりまえの話だとおもいます。