やはり、仙水忍の苦労は、はてしなかったのだ。
お金でなんとかなるやとおもったが、ところがどっこい、そうはならなかったのだ。夜の蝶には、夜の世界の世間があったのだ。
タクシーがつかまらないらしいけれど、なんてこった、こりゃ、そういう建前なのか、ほんとのことなのか、神のみぞしる世界なのだ!たぶん蝶たちは、いそがしいのだ!しかし、ぼくも、まてぬ!
今日はいきつけの串カツ屋さんでも、一度遭遇したことのある、「いつも息子さん自慢をするおじさん」との間合いをはかりながら、お酒をのんでいたのだけど、ひとり酒も気苦労がたえないじゃないか!どこにいっても世間なのか!
夜の世界の蝶だからといって、お金でなんとかなると、おもうことなかれ!経済現象を見える化している「お金」こそが、ひとのこころに巣くい、幻想の呪文をとなえ、まどわしてくる魔物なのだ!
とりあえず、いまは、予定を白紙にもどして(※もともと予定などたてていない。)、べつの居酒屋に梯子して、ひとりで、たわむれている。
場合によっちゃあ、夜の蝶には、ことわりの連絡をいれるけれど、これには、多少良心がいたむ。一度いくといったものだから、いかねばならぬのじゃないか?と、わがジキルとハイドは葛藤しておるぞ。
そういえば、新島襄は、脱国する寸前に、仙台か、どこか、その辺の地方都市で、夜の世界の蝶に、いれこんでしまって、すってんてんになったらしい。これは、同志社がからんだ刊行物である『新島襄』
(岩波現代文庫)に、著者和田洋一がかいていることなので、たしかだろう。
なんでもよいけれど、この本で、著書は、「同志社は、新島襄が、夜の蝶にいれこんでしまって、すってんてんになったことを黒ぬりして、かくしている」とあばいていたのが、痛快だった。
- 作者: 和田洋一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/10/17
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (2件) を見る