あなたのことが、すきでした。
けれども、いま、むすばれることはできないだろうとおもうので、ぼくは身をひきます。
あなたは、ぼくをひととして、すいてくれていました。ひとを愛せないぼくをうけいれてくれました。
ぼくは、あなたのそのやさしさに、のぞみをたくし、「すきである」とウソをつきました。そのウソとは、ほんとうのウソではありません。
「あなたのことを愛せるのか、すきなのかすら、わかりませんが、あなたといると、こころがたのしくて、あなたをもとめているような感情があることを感じます。それは"おそらく"すきということだろう。」
そう、自分をことばによって、ごまかすことで、あなたに、「すき」だと、まえにいいました。
今日、あなたとあって、その「すき」という感情が、ほんとうのことだと感じることができました。
だから、ぼくは、あなたから、身をひきます。
自分が、いたい方角をむき、いたみを感じることから、目をそむけません。
あなたをあきらめ、あえなくなることは、やっぱりさびしい。ぼくは、そのいたみをずっと、わすれないでしょう。
ぼくには、ひとを愛するちからが、あったのです。
大好きなあなたをあきらめることで、傷つくこころのいたみをぼくはうけいれることができました。
ぼくは、愛することでおってしまう「いたみ」をうけいれることができた。
ぼくは、ひとをすきになれたし、愛することができた。だから、身をひくことができたのです。このいたみがあることをぼくは、うれしくおもっています。